“夢のシートコンピュータ”の実現に向けた第一歩

世界初ガラス基板上にCPU<Z80※1>の形成に成功

2002年10月22日
株式会社半導体エネルギー研究所


ガラス基板上に形成したCPU<Z80>
■ ガラス基板上に形成したCPU<Z80>

シャープ株式会社(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:町田 勝彦、以下シャープ)と株式会社半導体エネルギー研究所(本社:神奈川県厚木市、代表取締役:山﨑 舜平、以下SEL)は、共同開発したCGシリコン※2技術により、世界で初めて、液晶用ガラス基板上に、8ビットCPUを形成することに成功しました。

CGシリコン技術は、1998年に両社で共同開発した次世代の機能デバイス“システム液晶”の中核技術です。結晶粒界で原子レベルの連続性を持たせることにより、電子の移動スピード(電子移動度)が、従来のアモルファスシリコンの約600倍、多結晶シリコンに比べても約3倍と極めて高速で、液晶制御回路や電源回路、入出力インターフェイス回路、信号処理回路などのLSIを液晶ディスプレイと同一のガラス基板上に形成することができることから、実装面積や外付け部品を大幅に削減できるうえ、セット商品の小型化・軽量化、さらには信頼性の向上にも寄与します。

このたび、両社はこのCGシリコンの結晶性のさらなる向上と新規プロセス技術の導入により、世界で初めてガラス基板上に8ビットCPUを形成することに成功しました。これにより、液晶ディスプレイ部と液晶ドライバICをはじめとする周辺の機能部品だけでなく、CPU、メモリ、画像の圧縮・伸長処理回路などの情報処理回路を同一ガラス基板上に一体形成することが見込めることから、夢の超薄型“シートコンピュータ”や“シートテレビ”の実現への道を一歩踏み出しました。まさに、CGシリコン技術ならではの成果です。

シャープはすでにこの10月から、携帯電話やPDAなどのモバイル機器向けにシステム液晶の量産を開始していますが、ユビキタス・ネットワーク社会にふさわしい本格的なシステム・オン・パネルの実現に向け、今後さらに両社で技術革新を進めてまいります。

※1  Z80:1976年にザイログ社が開発、シャープは1977年に生産。当時の8ビットパソコンの主流となったCPU。Z80はザイログ社の商標です。

※2  CG(Continuous Grain)シリコン:連続粒界結晶シリコン