より安全で、より便利に。
時代のニーズに応える蓄電デバイスを目指して。


2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンゼロ社会」の実現に向けて、世界中が動き出しています。
時代の流れを見据えて、 SELでは2009年からバッテリーの研究開発を開始しました。

安全性確保を第一に考えながら、高エネルギー密度化の実現を目指し、 過酷な環境にも耐えられる長寿命の二次電池を求めて、研究開発を行っています。
次世代の蓄電デバイスとなる新技術の開発にも力を入れ、フレキシブルバッテリー燃えない電池バッテリー保護回路の開発にも取り組んでいます。

SELの二次電池関連の特許は特許第6736241号、第6736243号をはじめ国内外に多数出願しており、技術の発信・普及にも注力しております。
低炭素化の取り組みとしても今後ますます需要が高まるリチウムイオン二次電池。市場ニーズに備えてさらなる技術向上に取り組んでまいります。



材料・素子開発


電池の性能を向上させるため、電池を構成する材料・部材の一つ一つを徹底的に研究開発し、究極の蓄電デバイスを目指しています。


高機能電極 グラフェンネット電極®

グラフェンネット電極は、グラフェンネット®を導電助剤として機能させる電極の総称です。グラフェンネット技術[1, 2]は、高度な導電ネットワークをバッテリーの電極内に構成し、高エネルギー密度かつ良好な出力特性を持つ二次電池を実現することが可能です。

酸化グラフェン(GO)は、黒鉛(グラファイト)を単層分離し、酸化させた材料です。多数の官能基があるため溶媒への分散性が高く、コーティング等に利用しやすい特徴があります。コーティング後、還元することにより導電性を高め、グラフェンネットとして利用できます。


▲グラフェンネット電極の表面(a)および断面(b)SEM像[1]


[1] 第60回電池討論会予稿集 1G04(2019)
[2] M.Yamakaji et al., “High Performance Lithium Ion Battery Using Graphene Net Electrode,” ECS Trans., 50(26), 329 (2013).


正極材料 高電圧LiCoO2

SELは、リチウムイオン電池の正極材料として広く用いられるコバルト酸リチウム(LiCoO2)を改良し、4.6 V(vs Li/Li+)という高い充電電圧でも劣化しにくい正極材料を開発しています。
LiCoO2は充電電圧を上げると容量が増加する一方、劣化が大きくなり、また温度が高くなるほど劣化が大きくなるという課題があります。
SEL開発品では、充電電圧が高い場合でも正極の劣化抑制が実現可能です。

▲LiCoO2の容量と電圧の関係
2019年12月9日~11日 IEDM2019企業展示ブースにて発表



フレキシブルバッテリー


電池でも「曲がる」を実現
ウェアラブル端末など応用の幅が広がります。

強みであるフレキシブル技術を応用し、自社開発のフレキシブルディスプレイに対応したフレキシブルな電池を開発。
2013年、ディスプレイ関連の展示会「FPD International 2013」において、フレキシブルバッテリー搭載の有機ELフレキシブルディスプレイを発表し、「酸化物半導体応用のフレキシブルディスプレイ/照明/電池」でFPD International 2013 アワード 優秀賞を受賞しました。
このフレキシブルバッテリーは、従来の電池性能を備えながら、1万回曲げ伸ばしに耐えられる柔軟性[3] を実現しています。




▲曲げ試験条件[3]

[3] R.Tajima et al., “Truly wearable display comprised of a flexible battery, flexible display panel, and flexible printed circuit,” J. Soc. Inf. Disp., 22(5), 3237 (2014).



燃えない電池を目指して ~難燃性電解質~


過酷な環境においても安定に動作し、高い安全性をもつバッテリーの実現のため、難燃性電解質の開発にも注力しています。
2014年のディスプレイ関連の展示会「Display Innovation 2014」において、0℃と100℃で動作可能なバッテリーを搭載したディスプレイ[4]の出展を行いました。



[4] J.Ishikawa et al., “Flame-resistant and Heat-resistant Lithium-ion Battery Used to Operate Heat-resistant OLED,” SID Symp. Dig. Tech. Pap., 46, 143 (2015).



安全性確保のための電池システム開発


バッテリー保護回路 (BTOS®)

2008年より注力している酸化物半導体(OS)技術と、バッテリーとの相乗効果により、安全で高機能な蓄電システムを目指します。

BTOS[5, 6]は、電池(battery)とOS技術を組み合わせてバッテリーの保護及び制御を行うSEL独自のシステムです。
BTOSは以下の10項目に代表される機能を有し、全てのリチウムイオン二次電池に適用可能です。本技術を用いることで、マイクロショートなど電池の発火や発熱に至る前段階の異常を検知[5]することが可能となり、事故撲滅への寄与が期待されます。


▲リチウムイオン二次電池保護対策回路の機能

[5] H.Inoue et al., “Micro Short-Circuit Detector Including S/H Circuit for 1hr Retention and 52dB Comparator Composed of C-Axis Aligned Crystalline IGZO FETs for Li-Ion Battery Protection IC,” Int. Solid-State Circuits Conf. Dig. Tech. Pap., 204 (2019).
[6] S.Fukai et al., “Current Monitor Circuit with Cascode Amplifier Using Crystalline IGZO FETs Compatible with Low-Voltage Input to Detect Micro Short-Circuit in Lithium Ion Battery,” Ext. Abstr. Solid State Devices and Materials, 707 (2019).

AIによる二次電池の異常検知

当社では、AI技術を利用してリチウムイオン電池などの二次電池を安全に制御するシステムの開発も進めています。

AI (人工知能)



SELのバッテリー研究開発現場


当社では完成品のみならず、二次電池を構成するあらゆる材料・部材の検討・開発に注力しており、充実した研究開発環境を整えています。




耐久試験





※ グラフェンネット電極、グラフェンネット、BTOSは、半導体エネルギー研究所の登録商標です(商標登録題454641号、第5459630号、第6146374号)。